王様の嫁取り大作戦-16
「いえいえ……国王の意外な一面も見られましたしね……ところで、第3王女のイツキ姫は頂けますかね?」
サクッと次の相手に目を向けたデヴィッドの切り替えの速さに、サイラ王は思わず笑って城内へと戻った。
ドグザールとイズミはザックの魔力切れ寸前で、追いかけて来たファンの船と合流し、転がるように甲板に降りる。
「うおぉ〜焦ったあ〜」
徐々に高度を落としていくザックに、ドグザールはヒヤヒヤしていたのだ。
「無理、無茶、無謀の三拍子ね」
「んだと?」
船の甲板で言い合いをする2人の横でザックがぐったりと伸びていた。
「ザック、良く頑張ったね」
デレクシスはザックを抱いて魔力を分けると肩に乗せる。
「ご無事で何よりです。ドグザール王、イズミ姫」
「協力感謝!」
ドグザールは座ったままニカッと笑い、イズミは呆れてデレクシスに声をかけた。
「こんな事に協力するなんて……お父上に叱られるんじゃなくて?」
「いやいや……父上から協力するように言われてるんで」
イズミは驚いてドグザールに目をやる。
「国単位で協力して貰った」
グッと親指を立てたドグザールは、どうやってこんなに早く来たかを簡単に説明した。
「信じられない」
転移の魔法陣を魔力も持っていない人間が使うなど危険極まりない。
「そんぐらいお前ぇが欲しいんだよ」
ドグザールはイズミの手を取って唇を落とした。
「結婚してくれっだろ?」
キラキラした目で見つめてくるドグザールに、顔を赤く染めたイズミは横を向いて答える。
「ここまでされたら断れないじゃないの……ちゃんと幸せにしなさいよ?」
「任せとけってんだ」
イズミの答えは微妙なのにドグザールは嬉しそうに笑い、今度は唇にキスした。
(イズミ姫ってツンデレなんだ)
デレクシスは顔をひきつらせて「こんな人前でキスするな」「いいじゃねえか減るもんじゃなし」……と言い争う2人を見ながら、まあ幸せそうだから良いか、と船室に戻る。