恋していた-3
「ここらへんなら、人も来ないかなー。」
てきとうな空き教室に入る。
目線で中に入るよう促され、私はおずおずと教室に入った。
教室というよりも資料室として扱われているらしく、床に置かれたダンボールは古そうで、室内は少し埃っぽいにおいがした。
…鍵がかかる音には、気がつかなかった。
いつ返してもらえるんだろう、と思いながら振り返ると、竹田君が私をじっと見ていた。
その目に、つい身体が強張る。
前にも見たことある、この目。
「何…?」
「ほら。」
指でつまんでぶら下げられたテストを受け取ろうとした、その時---
ビッ…
「やめてっ…!」
突如視界が暗くなる。
んん……?
私の手は、いきなりテスト用紙を破ろうとした竹田君の手を止めようと延びて、結果、空を掴んでいて…
…私、抱きしめられてる?
というか、捕まえられてる感じ…なんで?
「ふが、あの、テ、テスト破らないで…お願い。」
「こんなもん、どうでもいーんだよ、バーカ。」
「私には、大切だから。」
「馬鹿じゃねぇの、こんなもんで。」
「馬鹿でも、良いと思う。返して。」
私の言葉を聞いて、竹田君は小さく舌打ちをした。
「…なんで?」
「え?」
「なんであんな奴のこと、どいつもこいつも…」
「なに、どういう意味、」
------バンッ
…突然、壁に叩き付けられる。