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夏の匂いに包まれて。
【エッセイ/詩 その他小説】

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夏の匂いに包まれて。-1

ただ寂しいってその一言が言えなくて、
ただ不安って言えなくて、
素直になれない自分にイライラする。
「俺のせい?」あなたの声音の冷たさにぞっとする。
誰のせいでもない。
自分がわがままなだけ。
『別れよう』
それが私の答えだった。
光に満ちていた初夏の日差しから
まるで影絵のように色を失って
漆黒の闇が二人を包み込む頃
「それでいい。」と君がつぶやき去っていった。

一人取り残された私には夏の匂いが満ちていた。


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