意味深なことを言う。-11
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息は整ってきたが、離れがたい。
もう一度強く抱きしめ合って、声をかけた。
『…あんなに泣かせちゃって、ホントにごめん・・・』
「…?…―――あ!」
少しの間なんのこと?とでも言いたげだったが、パッと目を見開いた郁。
なんだか俺の下で謝りかねない様子だったので、そのまま言葉をつづけた。
『郁の声聞いてるとうれしくて、頭がじんじんしてきて…もっと、ってつい夢中になっちゃって…なんであんな風になったのか自分でもわかんねんだけど…』
口にすればするほど言い訳がましくて、もごもごとしてしまった。
しどろもどろな言葉をどうまとめればいいかわからず、胸下まである長い髪の毛の先をつまむ。
「…今日の夏目さん、かわいいですね。」
俺を羽交い絞めにして笑う郁。
俺の胸の中で、きっとまた眉もまなじりも下げているんだろう。
年下...というか、子ども扱いがこそばゆくて口惜しい。細い腕をほどくと唇を奪った。
「ふふっ、やっぱり夏目さん、キス好きですよ。」
案の定で、眉を下げ目を蕩かせている郁。
それに何でか、プレゼントでももらったかのようにうれしそうだ。
『…まぁやっぱ、相手によるけどね。』
口端を上げて、郁の言っていた台詞をそのまま真似る。
それに気づいた郁が、唇を咬みしめながら口角を上げた。
その仕草があんまりにもかわいくて、何度も何度も口づけを交わした。
セックス後の、俺のファーストキス。