returns to one-11
「あたしの彼氏は颯太で、瑛介は……弟だよ。」
自分自身に刻み込むかのような重い口調。
そんな風に言われると、俺の返事に選択肢はない。
『……わかった…』
俺達は十何年も前に、自分達の意思とは無関係に個とされた。
やっと繋がることが出来たのに…それはあってはいけないことで、また別々の個体にならなくてはいけない。
“またひとつに戻ってしまえたらいいのに。”
沙也もそう思っていることが、どこかの器官を通して伝わった。
声を殺して落涙するばかりの沙也を、俺はただ抱きしめることしか出来なかった。