本日快晴-1
翌日、璃子は学校を休んだ。
どうやら熱を出したらしいのだが、芳郎が心配してメールをしても返信が無い。
そのくせ、他の女子のメールには直ぐに返信が来ていた。
どうやら、避けられているらしい。
（……フラれた……な……）
がっくりと項垂れて１日を過ごした芳郎は、その状態でバイトに行く。
「うっわ。何あんた？鬱陶しいオーラねえ」
店に入った途端に姉の小夜美にツッコまれ、芳郎は益々落ち込んだ。
『小夜美さん、小夜美さん。弟さんはフラれたっぽいです』
女子高生幽霊、沙耶がふわふわと小夜美に近づき、状況を説明する。
「マジで？！あんた告白したの？！」
「……した……」
黙っててもどうせ沙耶が喋るだろうと、芳郎は洗いざらい話した。
「連絡なし……ねえ……」
小夜美は旦那の鉄雄と視線を合わせる。
「メールじゃなくて電話してみたらどうだ？」
「……出ねえ……」
芳郎は携帯を差し出し、発信履歴を鉄雄に見せた。
そこには、２０件近くの璃子への発信。
「あんたはストーカーか」
そうツッコミつつ、小夜美は顎に手を当てて考え込む。
小夜美の見立てでは、璃子も芳郎の事が好きなんじゃないかと思っていたが間違いだっただろうか？
「沙耶ちゃん、璃子ちゃんの様子見て来て」
『ガッテンだ』
「！！馬っ……！」
慌てた芳郎が制止する前に沙耶は姿を消してしまった。
「……姉ちゃ〜ん？」
余計な事をするな、と芳郎は小夜美を睨む。
「そんなオーラを放ちながら仕事して欲しくないだけよ」
小夜美は芳郎用のエプロンを投げつけて、さっさと仕事に取りかかれと促した。
芳郎はため息をついて渋々と立ち上がり、ノロノロとエプロンを腰に巻く。
その頃
噂の加藤璃子はボケーっとベットに座ったまま、何もない空中を見つめていた。
もちろん熱など出してない……仮病だ。
芳郎に告白された事が信じられない。
ずっと好きだった。
合格発表の時に見かけて一目惚れ……入学式の騒動で惚れ直した。
同じ霊感持ちでも自分とは違う堂々とした態度がとても眩しかった。
沙耶の事で偶然お近づきになれ……まあ、いきなり近づきすぎたのだが……そのチャンスを逃したくなくて、興味の無かったお洒落に挑戦した。
芳郎が自分に少しでも興味を持ってくれたのが嬉しくて、躰を売る用な真似をしてでも彼の傍に居たかった。
それ以外で彼が自分に興味を持つはずが無いと思っていたのに……。