本日快晴-4
「で?そうじゃなくて……何?」
お断りじゃないなら何を謝っているのか、と芳郎は聞く。
「あの……その……鈍感過ぎて……ごめんなさい」
「は?」
「私も芳郎くんが好きだったんだけど、まさか芳郎くんが私を好きになってくれるなんて思ってもいなくて……告白された事にも気づけなくて……変な解釈ばかりして、本当にごめんなさい!!」
まくし立てる璃子の台詞を芳郎は頭の中で整理した。
今……何気に好きだと言わなかったか?
「もう1回」
「え?ごめ……」
「違う。その前」
期待を込めた芳郎の視線に、さすがの璃子も何を言えばいいのか気づく。
「私も……芳郎くんが好き……」
「……もう1回」
芳郎は空いた席に左手をついて、右手で璃子の頬に触れた。
「……好き……」
「俺も」
芳郎の満面の笑顔に、璃子も自然と笑顔を返す。
2人の幸せそうな姿を見た沙耶は、そっと店の外に出ていった。
『これ以上は流石に野暮よねぇ〜…』
ふわふわと空を飛ぶ沙耶の目の前に、何の前触れもなく光る階段が空から降りてくる。
『……あら……お迎え来ちゃった……』
少し振り向いて再び2人を見た沙耶は、最高の笑顔で空に顔を向けた。
『人生の終わりの終わりが恋のキューピッドって最高!!』
光る階段に足を乗せてかけあがって行く沙耶の背後から、階段が輝きながら消えていく。
まるで光る羽を生やした天使のような彼女の姿を……小夜美だけが見ていた。
「ん……」
「璃子」
想いを伝えあって初めてのキスはとても甘く、危険な味がする。
名前が囁かれるだけで背中がゾクゾクするような感覚は麻薬のようで癖になりそうだ。
今、2人は店の屋根裏部屋に居る。
とりあえず店の片付けを済ませ、戸締まりをした芳郎は璃子をここへ引っ張りこんだ。
この部屋は忙しい時などに泊まり込むためにある部屋で、いろんな荷物と一緒にキングサイズのマットレスが置いてある。
そのマットレスの上で重なりながら、芳郎は璃子の唇を貪っていた。