甘えるのが下手っぴ。-5
『おっまえなー・・・
煽るな。我慢してるんだから。』
さっきから、どうにもかわいく思えて仕方がない。
うしろから抱きしめ、郁のうなじに頬を置いた。
「すみません・・・でも、夏目さんのちゅーが欲しい・・・です・・・」
絡みつく俺の腕に軽くキスを落とすと、郁が腰を捻りこちらに振り返った。
(・・・わ・・・・・・)
熱で火照った頬。
やっぱり潤みっぱなしの瞳。
汗でじんわり湿った髪に、俺が剥いだせいで少しだけ乱れたTシャツ。
そんなつもりじゃなかったのに、みだらな郁を思い出して心臓の跳ねるのがわかった。
そのまま、彼女の一瞬だけ触れるようなキスを受け入れる。
先ほどよりも、抱きしめる腕に力をこめた。
『・・・・・・風邪、うつったら責任とって看病しろよ・・・』
郁のたどたどしいおねだりとキスに、俺の脆弱な精神はあっさり陥落してしまった。
首筋、うなじ、肩甲骨に脇・・・
チュ、チュ、と小さく音を立ててキスを落とす。
「・・・っん」
強く抱きしめていた腕を胸に当て、やわやわとした感触を愉しむ。
指の間にある突起を軽くつまむと、ため息のような吐息が漏れた。
「ん・・・ふ、ん・・・」
(・・・鈴みたいだ・・・)
小さく声を漏らす郁に、そんなことを思った。
慌てている時はチワワそのものなのに、こんな時はまるで鈴が鳴っているようだ。