甘えるのが下手っぴ。-4
『だーかーら!背中だけだから。他は自分でやればいいから。』
食後。
少し熱の下がった郁をベッドに座らせ、こんこんと説教中。
説教というより、これじゃ説得だ。
「だって・・・だって・・・」
食事でかいた汗を拭けと言ったところまではよかったんだけど、手の届かない部分を俺が拭くと言うと首を横に振りだした。
『ほら。汗で気もち悪いだろ?それに汗冷やすとまた熱上がるから。』
郁のうしろに腰かける。
細い左腕を手で掴みうしろからTシャツをめくると、汗ばんだ肌が露出した。
郁は観念したようで、体育座りで顔を毛布にうずめている。
『気もちいいだろ?』
何度も見ているけどやっぱりその背中は小さくて、壊れてしまわないようにやさしくタオルを当てた。
「気もちいいですけど・・・夏目さんの手の方がひんやりしてて気もちいいです。」
ああ、と腕を支える左手に気がつく。
『下がったって言っても、まだけっこう熱あるからな。』
タオルを置いて空いた手の甲で、郁の大動脈に触れた。
「気もちいいです・・・もっと・・・もっと触ってください・・・」
こちらには顔を向けずに、郁が小さく呟く。
熱のせいか、いつもより欲求に素直になっているらしい。