ゲンジツトウヒ-1
ここから逃げ出したい。
その一心で三階のベランダから下を眺める。
こんなことは『よりよい解決策』ではないことぐらい知っている。
知っているのだけど…。
九月十三日、晴れ。
むかつくぐらいの快晴。
俺の心の中、薄曇り。
どっちつかずな『天候』
誰も気付かないんだろうな、俺の考えてることなんて。
いつ気付くかな?
俺がこの柵に足をかけた時点か。
俺がこの柵の向こうに立ったときか。
はたまた、俺が『ダイブ』したときか。
ゆったりと流れる雲。
あぁ、俺は。
俺はそこに行きたいんだ。
戯れに柵に足をかけた瞬間、
―ピ〜ンポ〜ンパ〜ンポ〜ン―
チャイムがなった…。
タイミングが合わないってことは、
たぶん、
まだここに居ろってことなんだね。
オーケー、わかったよ。
まだここに居よう。
まだここで生きていくとしよう。