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ゼビア・ズ・サイドストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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双星の魔女の困惑-1

 ここは、西の大陸にある魔法大国ゼビアの魔法学校。
 そこで学長をしているリン=サクライは『双星の魔女』と呼ばれ、魔法陣を巧みに操る事で有名な魔導師だ。
 腰まである蜂蜜色の艶やかな髪、アメジストのような深い紫色の瞳、豊満なボディーにキュッとくびれた腰、どこをとってもパーフェクトな彼女はゼビア魔法学校のシンボル的存在。
 そんな彼女にも悩みはある。

「……セックスしたいぃ〜……」

 まあ、かなりどうでもいい悩みだが。

「アースは貸しませんよ」

 学校の資料室の管理を任されているキアルリア、通称キャラは古代文字の辞典を見ながらリンに言う。

 ここで言っておきたいのだが、これから先出てくる人物とその背景はかなり複雑なので、ぜひとも本編『ゼビア・ズ・ストーリー』を読んでから続きを読んでいただきたい。

 閑話休題

 キャラの言葉にぷうっと頬を膨らませてリンは言い返した。

「人の旦那に手は出さないわよぉ〜だ」

「ならいいですけど」

 キャラは短めのプラチナブロンドの髪を耳にかけ、辞典から何かを写し取って元に戻す。

「ていうか、サクさんと付き合ってませんでした?」

 サクはゼビア騎士団、アース隊のナンバー2。

「ん〜…付き合ってたわけじゃないんだけど……」

 ちょっと興味があってツマミ食いしたが、サクにはちゃんと妻子がいる。
 しっかり人の旦那に手ぇ出してんじゃねえか、とキャラは緑色の目でリンを睨んだ。

「アタシはね、長ぁ〜い人生を一緒に歩いてくれる人を探してんのよねぇ……」

「……それは……難しいですよねえ……」

 リンは成長が遅い種族で、外見的には35歳ぐらいにしか見えないが140歳を越えている。
 つい、1年前まで体を共有していた双子の片割れベルリアは、愛する同族を見つけて東の島国ファンに行ってしまった。
 そのベルリアから学長の座を譲り受け、今に至る。
 元々、自分の仕事でもあったし、この仕事は大好きだ。
 自分の成長が遅い分、人が成長していく様を見るのが楽しい。
 しかし、学長という肩書き上、おおっぴらに男漁りが出来ないのも事実……欲求不満が溜まってしょうがない。

「キャラでもいいんだけどぉ?」

 ついでに言うと、ヤるだけなら相手は女性でもオッケーなタイプ。

「キャラでも、なんて言う人の相手はしてあげません」

 キャラはフイッとそっぽを向いてしまう。

「ああん」

 リンは残念そうに口を尖らして、その口に人差し指を当てた。
 そこへノックの音がして、珈琲の薫りが学長室に充満する。


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