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ゼビア・ズ・サイドストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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双星の魔女の困惑-8

「……ねぇ、キャラ……グロウはどうしてる?」

「不機嫌そうに毎日ゴハン作ってますよ……今もリンさんの家に来てます」

 リンの問いかけにキャラは優しく微笑んで答える。

「とりあえず会え。んで、ちゃんと話せ。その後どうしようも無くなったら助けてやる」

 ポンと頭を叩かれたリンは、意を決したように席を立って店を出て行った。


 その頃、グロウは本日分の晩御飯をタッパーに詰めていた。
 せっかく作ったのだから無駄にはしない。
 これは明日の弁当になるのだ。

『……ったく、キャラもアースも来ねぇって……意味わからん……』

 今日はアースが来る日だからリンも帰ってくるだろう、とふんだのだが誰も来ないのは予想外。
 4人分の料理が詰まった大量のタッパーを眺めたグロウは盛大にため息をつく。

 傍に居たいだけ……とか言いながら、我慢出来ずに抱こうとしたのが間違いだったのか……。
 あれからリンに徹底的に避けられている。
 そこまで嫌われてしまったら傍にも居られないなあ……とグロウはキリキリ痛む胸辺りを掴む。
 ただ、何故避けられているのかが分からない、とグロウが考えていた時……。

ダッダッダッダッダ

ガタン 

 騒がしい足音とドアの開く音がして、グロウはそちらを向いた。

『……リン……』

 そこにはドアの取っ手を握ったまま、肩で息をしているリンの姿がある。
 1週間ぶりにまともに顔を合わせる事が出来て、グロウは思わず微笑んだ。

『おかえり』

 その微笑みに顔を赤くしながらリンはギリギリと取っ手を持つ手に力を入れる。

「……カつくのよ……」

『あ?』

「ムカつくって言ってんのよ!!」

 いきなり何を言い出すのか、とグロウは呆れてリンの言葉を待った。

「そうよっ!!何でアタシが逃げなきゃいけないのよ!?」

 どうやら色々と考えているうちに腹が立ってきたらしい。

『知るかよっ!俺が聞きたいわっ!!』

 リンは力任せにドアを閉めてグロウにツカツカと近寄る。
 そして、グロウの襟首を両手で掴んだかと思うと、グイッと引き寄せて唇を重ねた。

『?!』

 驚いたグロウは目を見開いたまま、彼女らしくない不器用なキスを受ける。


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