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ゼビア・ズ・サイドストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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双星の魔女の困惑-2

『リン。俺の予定終わった』

 珈琲を持って入って来たのは、アースの姿そっくりの人型のグロウ。
 アースと分離した魔獣のグロウは、初めはキャラと契約していたがキャラとアースが結婚してゼビアに戻ると、契約を解除して魔法学校の講師として働いていた。
 本当の姿はジャガー(仲間内ではデカくて黒いただのにゃんこ)だが、授業をする上でかなり不便なので学校内では人型をとっている。
 アースと同じ黒髪だが本人と比べると若く、20歳ぐらいで金目の瞳孔は縦に伸びた獣の目、お尻には黒い尻尾が揺れていた。
 ついでに言うと、アースは現在26歳、キャラは21歳だ。

『おう、キャラ。来てたのか』

 グロウはキャラに目を止めて渋々と珈琲を差し出す。
 リンと自分のしか持ってきて無かったのだ。

「オレはいらないよ」

 キャラは珈琲を断って、お邪魔しました〜、と学長室を出て行った。
 グロウは肩をすくめてリンの前に珈琲を置く。

「ありがと」

『どう致しまして』

 グロウはリンの後ろに回り、椅子越しに背中にのし掛かる。

『今夜は何食べたい?』

 リンの首筋に擦り寄って甘え、ゴロゴロと喉を鳴らしながら聞いてくるグロウにリンは少し考えて答えた。

「レタス炒飯と卵のスープ。デザートは杏仁豆腐」

『オッケー』

 グロウはリンの頬に軽くキスをして体を離す。
 何事も無かったかの様に尻尾を揺らしながら学長室を出るグロウを見ながらリンは首を傾げた。

「どういうつもりなのかしら?」

 リンよりもひと月程遅くキャラ達とゼビアに戻ったグロウは、その足で学校に来て働かせてくれとリンに頼みに来た。
 以来、寮に暮らしてるくせに御飯を作りに毎晩通ってくる。
 仕事の都合上帰りが遅いリンの代わりに、同居しているキャラの御飯を作りに来ている(キャラは料理が下手)と、思っていたのだがメニューはリンに聞いてくるのだ。
 アースの分身であるグロウは勿論キャラの事が好きで、隙あらば寝取ろうとしているのだろうが、この様子だと成功はしていないのだろう。

「アタシには関係ないか……」

 本当に寝取られたらアースの魅力がその程度だったという事だ……リンは珈琲をひと口飲んで残りの仕事を片付ける為に集中する事にした。




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