side by 郁 - 普段すました顔の彼は意外と-7
覇気の感じられない甘えるようなその声が、私の片脚を絡めとる両の脚とその間にあるやわらかくなった感触が、かわいくて、愛しくて・・・
なんて返したらいいかわからぬうちに安定した息づかいが聞こえてきた。
(あれ・・・寝てる・・・?)
ゆっくり首を曲げて夏目さんの顔を覗き見ると、まだ半分意識の残っているらしい彼は胸に添えられた手をぴくりと一瞬だけ動かした。
(やっぱり寝てる・・・)
いつもの刺々しさがその表情からはまったく感じられなくて、子どものように安心し垂れ下がった眉をそっとなでた。
甘えたり、つき離したり。
ホント気まぐれ。
猫みたいな人だ。
静かに寝息をたてる彼の頬に、そっと手を重ねた。
目を開けた時の夏目さんも、また微笑んでくれたらいいのに。
そんな甘い期待を抱いて、私もまた目を閉じた。