side by 郁 - 普段すました顔の彼は意外と-6
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行為が済み、慣れた手つきで処理を進める夏目さん。
(あーあ。今日もこれでおしまい、か。)
からだと反比例しているかのように、心はいつも満たされない。
夏目さんとのセックスはいつもこうだ。
“これはただの行為だよ”と言われているようで、胸に鋭利なものが突き刺さる。
(・・・って、これは自分で選んだことじゃない・・・)
さいしょに誘われた時、私には選ぶことができる状態にあった。
夏目さんが、私にわかりやすい選択肢をくれたんだ。
私は自分で選択して、夏目さんのキスに応えたんだから・・・
(こんなことで泣きそうになるな!
夏目さんを悪者にするな!)
自分を叱咤し、気もちを入れ替える。
帰ろうと、自分の下着に手をかけた時・・・
『郁ちゃん〜、ちょっとだけ、肩かして・・・』
夏目さんはそう言って私を押し倒すと、私の肩に頭を落とし寄り添ってきた。
顔をもぞもぞと動かし、頭の楽な位置を探している。
首筋や鎖骨の上で揺れる髪の毛がくすぐったい。
(でも・・・うれしい・・・)
口元が緩むのを抑えられなくて、真っ黒な短い髪に軽く頬ずりし髪に指を通した。
「どうしたんですか?甘えんぼですね。」
『んーだって・・・郁ちゃん気もちよすぎて、HP全部なくなっちゃった。』
そう言いながらも夏目さんは力ない手つきで私の胸をくにゃくにゃ愉しんで、情後なのに「またシたい・・・」なんて呟いてる。