大胆なことをしてくれる。-3
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「あ、あの・・・っ、ごめんなさい!全部私の責任です!」
「すぐに勇気を出していたら!」
「いえ、そもそも、私がぼーっとしていたせいで!」
突然涙目できゃんきゃん謝りっぱなしのチワワ。
ついていけない俺。
『えーっと・・・ひとまず落ち着いて?』
意味のわからないまま、とりあえず部屋に招き入れた。
彼女は、梁川 郁(やながわ いく)さんというらしい。
全然知らなかったけど、俺の部屋の隣人だそうだ。
高校生くらいに見えるけど、しっかり二十歳をこえた社会人だとか。
ソファに座らせ落ち着かせると、たどたどしく言葉を綴る彼女。
洗濯物を取り入れる最中、突風で例のパンツがうちのベランダまで流されてしまった。
うちに声をかけるか、パンツはあきらめて知らないふりをするか悩んでる間に、うちから女の怒声が聞こえた、と。
「あのっですので、私から彼女さんへ説明と謝罪をしたいのですが・・・」
『あー、いいよいいよ。どうせ―――――・・・』
『―――――潮時だと思ってから。やっぱ恋愛とかよくわからないし。』
両手を前に広げ、努めてにこやかに言った。
“あいつはデリヘルのようなもんだから”
(その本音は、女の子には言わないけど。)
残念ながら、俺はこういう男だ。
だがありがたいことに「雰囲気イケメン」に分類されているらしく、あまり女に困ったことがない。
彼女という存在がなくとも、それ程支障はきたさないと思う。
「そんな・・・」
あからさまに肩を落とす郁。
そのイイ子っぷりに、ちょっとからかいたい気分になってしまった。