契約@-7
そのため特に急ぐこともなくなり、授業の妨げになり辛いと思われるC棟から順に着手されていた。
まぁ、そんなことはどうでもいい。
出勤してくる教師に片っ端から声を掛け、チャンスがあれば催眠状態に堕としていく修一。
今は効率を考え、言いなりになるものだけ刻み込んでいく。
そうして獲物を着実に網に掛けていた。
「ぁッ、はあぁッ……おはようぉ、片桐くぅん……」
何故か甘い吐息を鼻に掛けたのは敦子だ。
彼女は修一を見て発情したのである。
ショーツに淫汁を滴らせる程……。
「ん? あぁ……おはようございます。国見せんせっ」
修一は満足気に敦子を見遣り、口角を歪める。
「かッ、買ってきました。ゴム、十箱……ッ……」
「そう言えばそんなこと言ったな……」
敦子が差し出すどこかの店の紙袋を受け取り、彼は数種類のゴム箱の合計数をしっかり確認した。
紙袋は薬局のものではなく、雑貨かセレクトショップのものらしい。
敦子は辺りを窺うと、恥ずかしそうに口を開いた。
「修一様ぁ……お願いが「チ○ポならやらねーぞ?」
先回りされた敦子は思わず腰を捩り、物欲しそうに彼を見つめる。
「そんなぁッ。お願いッしますぅッ……何でもしますから……ぁッ……」
「今忙しいんだよ。オナニーでもしてっ……きたら?」
言い切りそうになった修一は慌てて語尾に疑問符を付けるニュアンスへもっていった。
言い切れば、ここで自慰を始めてしまうと考えたのだ。
しかし敦子は
「はいぃ、んッ……ありがとうございます……」
と何故か礼をして、荷物も置かずにトイレへ直行していく。
彼は首を傾げるも、やるべきことへ専念する。
敦子が礼をしたのは、彼が自慰を提案したことによって「性的興奮を与えられた」状態になったからなのだが、修一はそれに気付かないのだった。
直接的な刺激だけが性的興奮にあたる、というわけではないのだ。
実行した先に快感があれば、言葉だけでも「性的興奮を与える・与えられる」に含まれるのである。
エロの世界は奥が深い……。
修一は向こうから歩いてくる人物に目を細めた。
優子である。
彼女は修一を見た瞬間前傾姿勢になったものの、なんとか背筋を正す。
そして、何かを呟いた。