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野生の悪魔が現れたっ
【ファンタジー 官能小説】

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契約@-11

 ***

「ここも外れか……」

 彼女は修一と、彼にたかる二人の幼女を眺めていた。
 なかなか面白い家族構成である。
 少年が一人と、彼の妹と思われる幼女が二人。
 部屋のスペースを考えてもそれ以上の人数で暮らしているとは考え辛い。

「一見すると魔族に見えなくなくもないが……」

 しかしその幼女たちからは気配を感じられない。
 魔力を与えられた現世の魂は、その魔力を駆使する際に魔力の気配を帯びさせる。
 しかし天魔族の場合、魔力を常に帯びているので魔力を使っていない場合でも気配はあるのだ。
 従って、気配のない二人の幼女は、現世の魂……人間と捉えるのが普通。

(しかし……こうもあてが外れるとは……)

 彼女は首を傾げつつ窓辺へ戻る。

(コイツには飽きたのか?)

 彼女の体は窓をすり抜け、空を行った。

 ***

「まだかいなぁ、まだかいなぁ」

 クランはそう言いながら同じ場所を行ったり来たりしている。

「ちょっとは落ち着いたらどうなんだ?」

「んなこと言うたかて、足が動いてまうんやもん……」

「また『もん』って「ぬはぁぁぁっ!!」

 このクランの意味不明な感嘆は、ドアチャイムが鳴ったせいである。

「修一さんっ、修一さんっ」

「はいはいはい……」

 ミルルにまでせき立てられ、修一はだるそうにドアを開けた。

「あ……はああッ、片桐、んッ……ご機嫌よう……」

「おう。よく来たな……で、後ろの方はどちら様で?」

「家で雇ってる者たちですわ……」

「へぇ〜……」

 花梨の後ろに絵に描いたようなメイドが二人、大きなトランクを提げて控えているのだった。

「まぁ……取り敢えず上がれよ」

「では、失礼致します……」

 花梨は中へ入り、メイドも後に続く。

「此方の方々は?」

「あぁ、居候することになった従姉妹の姉妹」

「はあ……」

 花梨は怪訝な顔で二人の幼女を見比べる。
 恰好が恰好なだけに無理もない。
 一方のクランとミルルは……

「「おぉ〜っ!」」

それぞれにトランクを覗き込み、目をキラキラさせているだった。

「これもええなぁ……」

 適当にあてがい、姿見の前に立つクラン。
 黒いチュチュと毒々しさ際立つ濃い紫のTシャツ姿で何故かどや顔を決めている。



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