マリッジブルー-7
その頃、ラインハルトの部屋では……。
「アンタがしっかりしねぇからステラが不安になってんじゃねぇかよ!!」
「私の妻になる女を呼び捨てにするな!成り上がりが!!」
「うっせぇ!!身分なんかこの際関係ねぇ!!」
アースとギルフォードが怒鳴りあっていた。
『落ち着けよアース』
「ギルもだよ」
グロウとラインハルトが鼻息が荒い2人をたしなめる。
2人はどっかりとソファーに座り込み、同時に酒をあおった。
「キアルリアは俺のだ。とっとと諦めて腹ぁ括りやがれ」
音量を落としたアースはぶっすーとした顔でギルフォードを睨む。
「本当の所どうなんだ?ギルはキアルリアが好きなのかい?」
ラインハルトの言葉にギルフォードはため息をついた。
「そりゃ……好きだったさ……」
「ほぅ……」
アースは顔をひきつらせて益々ギルフォードを睨む。
「けど、あの子はどっちかと言うとラインの方が好きだったみたいだし」
「ほほぅ……」
アースの視線がラインハルトに移り、ラインハルトは思わず身を縮めた。
「その男にこっぴどく裏切られたんだ……あの時のあの子は本当に酷い状態で……助けてやりたいと思った」
アースの視線が痛く突き刺さり、ラインハルトは益々小さくなる。
「でも、あの子は私の手を振り切って自分の意思で出ていった……私にはそれを止める事も、追いかける勇気もなかった……それで終わりだよ」
ギルフォードはがっかりした表情でどぼどぼとグラスに酒を注ぐ。
「じゃ、なんでキアルリアばっか見てたんだよ?」
「そりゃあ、あんな事があったんだし心配するさ」
言われてみればごもっとも……ステラとアースの勘違いだったらしい。
人は恋をすると視界にフィルターがかかるものなのだ。
「しかし、そうか……不安がらせてしまったか……」
「まあ隠し事されちゃぁなぁ〜…でも、今日俺が言ったし」
アースの言葉に双子はギョッとする。
「あんたらが言わねえなら、俺が教えるしかねぇだろ?大丈夫だよ、ラインハルトの立場も理解してたし、全然引いてなかったから」
なんて事はない、とアースは手をヒラヒラさせて自作のツマミを口に入れた。