マリッジブルー-5
「……わたくしは、自分の意思でお城に来ましたし、自分の意思でギルフォード様の妻になろうと決めましたわ……」
ステラの答えにアースは満足そうに笑う。
「だろ?あんたはギルフォードに相応しい良い女だ……第一、あの2人が結婚したいとまで思っているとは思わねぇしな」
アースの言葉にステラは胸のつっかえが取れたような気がした。
「わたくし、このままでよろしいのですね?」
「ははっ当たり前だろ?この話を聞いて引かずに家族になろうって女が他に居るとは思えねぇよ」
「あら」
言われてみればそうかもしれない。
兄が同性愛者で、その兄は妹を犯してて、妹は物事に流され易く危なっかしい……とくれば面倒くさい事この上ない。
「なんだか姫様が心配になってきました」
「そこは俺に任せとけ。あんたはギルフォードをがっちり捕まえといてくれよ……ギルフォードがふらふらしてたらキアルリアまでふらふらついて行きそうだ」
肩をすくめたアースはステラに指を差しながら、もう片方の手でお茶を飲んだ。
「ふふ、そうですわね……ありがとうございます。わたくしやっと決心がつきました……もし、ギルフォード様が姫様を愛していても……受け入れますわ」
ステラは背筋を伸ばしてアースに笑う。
「今のファンにはあんたみたいな女が必要だよ」
アースも笑顔を返しつつ心の中では、本当にギルフォードがキアルリアを愛してたらボッコボコに殴ってでも諦めさせてやろう、と恐ろしい事を考えていた。