眠れない妻たちの春物語(第二話)-2
初めてタシロと出会ったのは、私が燿華という名前で、SMクラブのS嬢をしていたときだった。
彼は、私にとっては最後の客だった。三年ほどいたSMクラブをやめる夜、彼は私を指名してき
たのだった。
そして、私は、SMクラブをやめてからも、タシロとの関係を続けていた。
私の前に跪いたタシロは、ピアノを弾くときのクールすぎるほどの瞳とは違って、まるで別人の
ような瞳の中に、情欲に充ちた憂いと、もの悲しげな優しさを漂わせていた。
その瞳の中には、私だけが見えている…だから、私はタシロと離れられない関係なのだと思って
いた。
黒いガーターとストッキングで彩られた片方の太腿を彼の肩に乗せかけると、後ろ手に拘束され
たタシロは、悩ましくからだを捩りながら私の太腿の内側に愛おしく唇を寄せる。そして、ゆっ
くりと私の白い腿の付け根へと湿った舌を這わせていく。
淡く渦を巻いた陰毛の毛先を優しげに舌で掻き分け、肉の割れ目をまさぐり始める。伸びきった
舌先が、秘裂の縁にあてがわれると、私の蜜口が自然と開いていく…。
…欲しいわ…
タシロの粘り気のある欲情に充ちた瞳に吸い込まれるように、私は、自分の意志とはべつのとこ
ろで、恥丘の草むらを濃厚な色合いに染まらせていく。
陰毛の翳りに、彼の鼻先がこすりつけられ、割れ目の襞に彼の柔らかい唇が触れる。私の肉の合
わせ目が、蕩けながら少しずつ開き始める。萎み始めていた花びらが、瑞々しい疼きとともに潤
みを含んでいる。
やがて、彼の舌先が少しずつ、私の割れ目の奥をまさぐり、舌と襞が絡み合う。滑らかな舌の
動きは、私の敏感な部分へも徐々に刺激を与え、湧き出した蜜液を外へ導いてくれる。膣口に舌
を差し入れ、滲みだした甘い果実汁をすするように唇を蠢かす。
…ああっ…
私は、腿の内側から震えるような疼きに襲われる。のけぞる私の股間をまさぐる彼の頬を太腿で
ゆるやかに締めつける。
感じる…すごく感じるのだ…。
彼にどうしてこんなに感じるのか、自分でもわからなかった。性器に感じる微熱は、高まる胸の
鼓動とともに、からだ全体に泡立つように広がっていく。
私の股間に顔を埋めたタシロの舌先は、内襞の粘膜を啄むように、どこまでも優しく愛撫し、次
から次へと私の愛液を誘い出す…。