居場所-5
脚にふわりとかぶせられたジャケットの下で、ストッキングの手触りを確かめるように、腿を上下に撫でさする手の平。
その指先の動きからは、はっきりとした淫靡な意思が感じられる。
「……ちょっ……」
思わず声が漏れそうになりぎゅっと身を硬くするが、一輝はそしらぬ顔で窓の外を眺めながら、更に腿の内側へと手を滑らせてきた。
ダメ……こんなところで……。
朦朧とする意識の中でも、ミラー越しの運転手の視線が気になって必死で脚を閉じる。
一輝のほうはそんな私の反応を楽しむように、指をじりじりとずらしながらスカートをたくしあげ始めた。
……やめて……。
ゆっくり股間へと這い上がってくる一輝の体温に、身体の奥がじんじんと疼く。
……ダメ……それ以上は……
声を出せない状況のせいで、肉体が異様なまでに敏感になっていた。
まともに抵抗出来ないまま、スカートが手際よく腰のあたりまで捲り上げられる。
ストッキングに包まれた私の下半身は、あっという間にジャケットの下で完全に露出してしまった。
……ああ……私……こんなところで……。
その羞恥心を見透かしたように、一輝が私の膝頭をつかんで脚を大きく広げさせる。
ダ……ダメ……こんな格好……。
あまりにはしたない自分自身の姿に、股間が熱く潤んでしまうのがわかった。
ストッキングの上からでもハッキリとわかってしまうほどぐちょぐちょに濡れた私の陰部。
タクシーの運転手や道を歩く人々にまで全てを見られているような気がして、身体がカアッと熱くなる。
「……あ……ん……ハァッ……」
「あれ……ずいぶん息が荒いけど……大丈夫?」
白々しい台詞を言いながら、私の顔を覗き込む一輝。
それと同時にプツン――という音がして、昨日と同じようにストッキングの中心が破かれたのがわかった。
嘘……っ。
私の眼をじっと見つめながら、破れた部分をこじ開けてクロッチを器用にずらし、ぬるついた割れ目をまさぐってくる一輝。
……ま……待って……。
そう言おうとした時にはもう、中指がずぶりと奥まで入ってしまっていた。
「……っ……んっ……」
ずっと刺激を待ち焦がれていた膣壁が、無意識のうちにきゅうっと指を締め付けてしまう。
第三者のいるこんな狭い空間の中で挿入されているという異様な状況に、自分でも戸惑うくらい興奮していた。
ゆっくりとピストンを始める一輝の指。
そのリズミカルな動きに、7年前の蜜月の記憶が鮮明に呼び覚まされていくのがわかる。
もう結婚してしまっている人。
今更好きになってもどうしようもない相手。
わかっているのに、身体が憎らしいくらい一輝を求めている。
指じゃなくて、もっと熱くて硬い一輝のモノで、私の中をいっぱいに満たして欲しい―――。