昔の恋人-3
「本当気をつけて帰ってね。はい。」
そう言って由梨さんが生姜の飴をくれた。
「ありがとうございます。」
由梨さんは満足そうに笑うと、大量の書類を抱えて作業室の方に向かう。
その姿を見ながら矢代が言う。
「冴木先輩、さすがだね。2年後、自分があの量できる気がしないのよね。」
「まあ、冴木先輩は特殊じゃねーの?半分事務もやってるしな。お前もセンスあるってかなり褒められてたぜ。まぁ、冴木先輩と矢代はタイプが違うだろ。」
「わかってるわよ!どーせ温和じゃありませんし、事務処理も向きませんよ。じゃあ笹原、打ち合わせは来週お願いね。月・木曜日以外なら私はいつでも大丈夫だから。時間合わせて連絡お願い。」
「矢代、本当今日はごめん。約束破ってばっかだな。」
「あんたの約束の反故なんて今に始まったことじゃないでしょ。慣れてるわよ。気をつけて。」
そう言って矢代はデスクに戻って行く。
「慣れてるか…。」
俺は苦笑いになって荷物をまとめ席を立った。
ーあんたの約束の反故なんて今に始まったことじゃないでしょ。慣れてるわよ。
「か、なえ…?」
そう言われた所で目が覚める。
今何時だ?
頭…痛てぇ。
手探りで携帯を探す。
23:15
思わず溜息がでる。
帰りに病院によった。
幸いインフルエンザではないようで、薬を処方してもらい、帰って即寝た。
夢見が悪く起きたものの、大量の汗で気持ちが悪い。
携帯にメールが2件入っている。
一つは友達から時間あるなら飲もうというメール。
もう一つは矢代からだった。
15分前。
『ご飯食べれそうなら食べて。ドアのとこに置いとく。必要そうなのいれといた。お大事に。』
俺はベッドから起き上がり、とりあえず汗で気持ち悪い服を着替える。
そして玄関のドアを開けると紙袋とビニール袋が置いてあった。
そのまま部屋に戻りベッドに座り中身を確認する。