禁じられた恋と性(5)-4
江梨子は、娘のトモミが、どこか自分の知らない世界に行ってしまう
そんな気がしたからである。
娘を信用し任せようと思いながらも、心の中では心配で仕方がなかった。
その為に今日という日を選んだのである。
久し振りの親子水入らずのショッピングと団欒のひととき。
いま、親子はその本質に迫っていた。
「五十歳って、当たり前でしょ、驚いたわよ、勿論」
しばらく江梨子はその言葉の後が続かず、言葉を探していた。
まさか、そんな言葉がトモミから聞こうとは思わなかったからである。
トモミは悪戯をした子供が、親を上目遣いで見るような眼をしていた。
そのどこかで許しを請いているように見える。
ここで江梨子は、娘の本当の気持ちを試そうと思った。
江梨子は始めて周りを見ながら声のトーンを下げた。
「ねえ、トモミ」
「うん、ママ」
「それで、あの・・・身体の関係は、その・・どうなってるの?」
「う、うん、してる」
「セックスなのね」
母親の江梨子は、このあどけない顔をしている娘の顔をマジマジと見つめた。
「うん」
「やはり、そうなのね」
「そうなの」
トモミはじっと江梨子の様子を伺っていた。
「実はね、ママはそれも前から勘づいていたのよ」
「え?何を・・」
「母親なら分かるのよ、娘の身体のことなら」
「そうなんだ?どういうところが?」
「普通の成長じゃなく、トモミが女の身体になっていくのが分かるのよ」
「そ、そうなんだ」
「トモミの身体がどんどんと、大人みたいなっていくのが・・」
「あぁ、ママには分かっていたのね」
江梨子は、ここでようやく少し娘のことを理解したようである。
娘の身体が、どんどんと大人になっていくのが不思議だった。
発育盛りとはいえ、日増しに乳房が大きくなり、
腰つきも、ずっと女らしくなってきたからである。
しっとりとした身体は少女のものではなかった。
それは風呂などで、トモミがいくら身体を隠しても、江梨子には分かる。
その身体は、異性から性的な刺激を受けていたのでは・・と
思わずにはいられない。
それは自分が女だから余計に感じるのである。
このとき、江梨子はトモミの母親でなく、一人の女になっていた。
吾が娘を女の身体にした相手の男を知りたかった。