入学式-1
これは俺が屑で下種の男だという、どうしようもない事実を書き綴ったモノガタリである。
俺は屑という部類の人間なのだろう。
今、自分は高校に入学しており、その学校もそこそこの、レベルである。
いわゆる馬鹿というわけではない。
では何が、何処が屑なのだろうか?
いや、逆に馬鹿は屑なのだろうか、ブ男は屑なのだろうか。
仮に彼等が屑であろうが俺はさらにその上の屑なのだろうと思う。
これは別に自分のことを蔑んで一種の『自己満足』に浸っているわけではない。
俺は。俺という男は、人の痛みというものが…どうしても理解できないのです。
空を見上げると、鬱陶しい晴れ模様である。
普通の人間はこういう天気には『うきうき』するものだというが、理解しがたい。
勿論、彼らも俺のような人間に理解されようなどとは思ってはいないのだろうが。
因みに、この普通の人間というものは、『俺以外の人間の大半』という意味である。
そんな鬱屈とした気分でアスファルトを歩いていると漸く、学校の連中と合流する。
しかし今日は一般の学校の風景ではない。
これは何も『一般』ではないというだけであって、死体が転がっているなどというような殺伐とした風景ではない。
だから俺の記す文章に落胆する者もいるだろうが、それはショウガナイのである。
ま、つまりだ。本日は『入学式』というものなのだ。
そしてかくいう俺自身も新入生だ。
親子の群れを掻い潜る様に学校の玄関付近に行く。
そこには勿論学校の中に入るに当たって必要な『履き替え』をする所であるが、実際には靴を履き替えるだけでは済まない。
玄関には『クラスの割り振り』と『出席番号』というのが書いてある模造紙があるのだ。
よってなかなか進まない。
「鬱陶しいなぁ。とっとと進めよ」
俺ではない。
俺の後ろにいる人間だ。
人間というか、同じ新入生だ。
「何見てんだよ?」
俺の視線に気付いたその男は、苛立ちながらも俺に聞く。
だから俺は「いや、確かに遅いがうっかり見間違って、別のクラスなんかに入っちまって、担任に別のクラスで馬鹿にされるわけにはいかないだろ?」といった。
するとそいつは「っけ、あいつらはどうせ同じクラスの奴が誰なのか知りたいだけなんだろうよ」と吐き捨てるように言う。
彼と喋っていると漸く列が進む。去り際に見知らぬ小母さんに軽く会釈された。
恐らく彼の母親なのだろう。