入学式-2
教室に入り、黒板を見て自らの出席番号に適合する席を探し、座った。
俺のように座っているのは数人で、女３人男子２人（男子は俺を入れていない人数）。
他は『わいわいがやがや』をしている。
定刻になり担任が来る。女だ。
といっても、俺のストライクゾーンを大きく飛び越える『糞婆』であった。
俺は小中と学校生活を送ってきたが、未だに美人女教師というものを見た事がない。
あれは妖精やらの部類なのだろうか。
しかし、しかしだ。
クラスの女はなかなかの上玉ぞろいだ。このけっかは『良好』といえよう。
まぁ、俺の『玩具』にするのはその中でも数人だろう。
そんな事を考えていた俺はきっといい顔をしていたと思う。
昔から俺は『玩具』には妥協しない。
どんなに高価な玩具だろうが、他人のものだろうが、全て手に入れてきた。
そんな楽しい事を考えていたら、何やら自己紹介なんかをする空気になっていたようだった。
しかも次が俺の番。
あせった。
「武智（たけち）…武智、丈一郎（じょういちろう）だ。趣味は読書。嫌いな事は…そうだなぁ、特に無いが強いて言えば疲れる事だ。以上」
俺はテキトウな自己紹介ですました。
急だったものでな。
そうこうするうちに本日のメインイベントにして、鬱陶しい学校イベントの５指に入る入学式がはじまる。
因みに、卒業式はこの中には入らない。
なぜなら、他人の卒業式は威張り散らしている、『方々』が消える。
そして自分の卒業式は・・・まぁ言うまでもないのだが、長年我慢してきたところからの解放である。
これで、楽しくないわけが無い。
だけど、悲しいかな・・・本日は入学式だ。それも自分の。
これから束縛されるというのに何で楽しいんだ。
女ならまだしも俺と同じ男子も『期待に胸を膨らましている』状態だ。
しかし、こんな事を思うのは俺だけなのだろう。
出席番号順に体育館に入る前に外で並ぶわけだが、これがなかなか進まない。
そりゃそうだ。４０人の列から自分の場所を探すのだ。
しかも、俺に至っては、前の出席番号の奴の顔を覚えるのを忘れていたのだ。
片っ端から聞いた「お前何番？」名前を覚えていないので、『お前』なんて感情を逆なでするような言い方しか出来ないが、仕方が無い。『youは何番』と聞くわけにもいかんしな。
「おーい。タケチくーん。こっちこっちー」助け舟だ。
安心して乗れるかどうかは、別にして助け舟であることに間違いはない。
そして今の俺は例えソレが『泥舟』であろうとも乗るしかないのだった。
「ここか」安堵した俺は独り言のように呟く。
すると声をかけてきた女が「もー」とかいってる。
牛かお前は。といっても、胸は小さかった。これでは、『ヤル』ときに上下の口でしか俺を満足させる事は出来ないだろう。
ということはともかく、その女は小声で俺に話しかけている。その内容は、『一目見ただけで誰もが忘れる事が出来ないような、私の後ろなのにどうして迷子になるかなぁ』とかそんな内容だったと思う。
わがままな女だった。我侭なのは乳だけで十分なのに。
しかも、こいつはソレが残念な大きさだというのに！
他にも俺が黙っていた事をいいことに好き勝手な事ばかりいっていたような気がするが、今後のコミュニケーションをする上で記憶に留めて置かなければならない事は、以下のことであろう。
まず一つは、この女が俺のひとつ前のクラスメイトだということ。これはこれからの学校生活において、最重要の情報である。
よく、自分の席の周辺の人間と『友人関係』を構成する輩がいるが、俺の場合は自分の周辺から『毒』を撒く。勿論毒とは比喩表現であるの。
二つめにこの女は黙っていれば、いい気になる女だということ。
そして最後にこれは使える『馬鹿』だということだ。
俺が毒を脳内で生成している間に、卒業式は終わった。
一日だけでは俺の玩具になりえる素質のあるものは見当たらないが、目下の目標としてコレを加工する。
なに、あせる事はない。どんな玩具も頑丈なものを作るには『愛情』を込めなければならないのだから。