双星の魔導師と巫女-4
ーーーーーーーー
ゼビア国王(現国王のドグザールではなく、その父親)の命令で設立した魔法学校が、20年たってやっと定着してきた頃だった。
設立当初から学長として学校をまとめていたベルリアと、体を共有している双子の相方リンは魔法書を前に少々興奮していた。
「……見つけた」
『見つけた……わねぇ……』
2人?が見ている魔法書はとても古く、ボロボロだったが何とか修復してやっと内容が確認出来た所。
その内容は2つの精神を持つ人間を2人に分ける、というもので長々しい解説の横には『分離の魔法陣』がしっかり描かれている。
「う……しかし、この魔力の量は……」
『これは……貯めるの大変そうねぇ……』
魔力の代わりに産まれたばかりの胎児を300人だの、火蜥蜴を50頭だの書いてあるが、簡単に言うと魔法使い最高レベルの魔導師を20人ぐらい生け贄にする感じだ。
『貯めるのに100年はかかりそうねぇ……』
「私達が長生きで良かったよね」
『気長に行くしかないわね……』
2人は嬉しいような悲しいような微妙な気持ちになってため息をつきつつ窓の外に目を向ける。
窓から見える学校の正面入り口。
そこはちょっとした広場になっており、講師や生徒達の憩いの場だ。
そこで、なんだかオロオロとしている少女が目についた。
『幼い子ねぇ』
リンの言った通り、その少女は歳は15ぐらいで、いかにも初めてです、という風でなんとも危なっかしい。
魔法学校には色んな国から人々が集まり、そういう所にはろくでもない人々も集まるものなのだ。
案の定、目をつけられた少女は3人の男に囲まれてジリジリと建物の影に連れていかれた。
「あ〜あ、私の管轄内では止めてほしいなぁ」
動くのが嫌いなベルリアはよいしょ、と立ち上がり現場へと足を向ける。
「お嬢ちゃん困ってんだろ?俺らが案内してやるよ」
少女を囲んだ男達はニヤニヤと下卑た笑いを浮かべ、少女の体を舐めるように見ていた。
「有難い申し出ですけど結構ですわ」
「つれないねえ」
キッパリ断った少女の腕を男が掴む。
「お離しになって下さいっ」
少女は手を振り払おうとするが、相手はガタイのいい男……びくともしない。