第二章―3-4
「私達、本当に今日からココでお世話になる事になったの。で、お母さんに料理を頼まれたから作ろうとしてるだけなの」
「・・・・」
今度は信じてくれたのか黙ったまま。
「あら、シオン・・。早かったわね〜」
沈黙な空気になった所にシングルマザーが大量の洗濯かごを持ってキッチンに顔を出してくれた。
「ゴメンなさい!」
夕飯。
恵梨が作ったシチューとサラダが乗っている机に座った瑞稀達三人に謝るのは先程、シオンと呼ばれた男の子。
「あ、いや、分かってくれたし大丈夫だよ」
「ちゃんと料理も出来たしね。」
頭を下げたままの男の子に瑞稀と恵梨は笑顔で優しく答える。一方の零は相変わらず、無言状態を保っていた。
「・・オレ、シオン。ココで一番歳が上だから時々稼ぎに出かけたりしてるんだ。だから新入りが来たの、知らなくて・・」
「しょうがないよ。私達も事前に話を通していた訳じゃないし・・」
そこまで瑞稀が言うと、続きを恵梨が引き継いだ。
「ウチら、今日この街に来てさ。色々知りたいことあって、情報を結構持ってるっていうシオン君を訪ねてきたんだ。」
上手くぼかしながら言った恵梨に、柔らかかった表情が一瞬強ばったシオンだったが、すぐに悲しそうな、でも何か警戒したような表情になった。
「そうなんだ・・。」
「・・シオン・・お前は確かフローレ一の情報屋チームのリーダーだろ?」