第二章―3-3
すると、キッチンの入り口から声がした。
三人が振り向くとそこには小さな男の子が立っていた。
金髪のくせ毛、ハイネックの上からTシャツを着ているためか、少し幼く見える。
そのシャツと短パンを金具で止め、ロングブーツ。黄色いバンダナで右目を隠している。
「何してんだよ!母さんを呼ぶぞ!」
「え、えっと・・」
「・・はぁ・・。俺達はそのお母さんに頼まれてこうして夕飯を作ってるだけだ」
「嘘だ!」
零が腕を組みながら言った言葉を信用しない男の子。
「えっと、今日からお世話になる事になってるんだけど・・」
「嘘だ!そんな話聞いてない!」
「嘘じゃないんだけどな〜・・」
瑞稀の言葉も聞いてはもらえず、恵梨が小さく嘆いた。
「・・話聞いてくれないよ・・どうしよう」
「このままじゃ、夕飯作れないしね〜・・」
「こういうのは放っておくのが一番だ」
付き合いきれなくなった零はもう少年を放置してキッチンに向き直った。
「ちょ、ちょっと、零。このまま!?」
そんな零の態度に瑞稀が慌てた。しかし、恵梨もそれに倣う。
「ま、確かに零の言うとおりでもあるし・・ウチらはこれ作らなきゃいけないからそんなに構ってられないよね」
「恵梨まで・・」
恵梨もキッチンへと足を向けた。一人どうしていいか分からなくなった瑞稀はもう一度男の子に声をかけた。