第二章―2-7
三人は、大きな通りに面している商店街を歩いていた。
さすが商家の街。ズラリと、様々な出店が並んでいる。店を覗き、店主が出てくる度に、適当な理由を付け、15年前の情報を仕入れようとするのだが、何故か大人たちは「関係ない」の一点張り。下手すると、店から追い出されたりもした。
「何でここまでされなきゃいけないのかな、私達」
「何か怪しいけど・・教えてくれそうも無いしね〜」
そろそろ自分達がされる仕打ちに我慢できなくなったのか、瑞稀と恵梨が愚痴を零す。
そんな二人をよそに、零は至って冷静に、
「一般からは聞き出せない、となれば・・」
静かに考えを巡らせていた。
「あの・・」
そのとき、三人に声をかけてきた商人。
三人が振り向くと、気弱そうな若い男が立っていた。
不機嫌な瑞稀と恵梨に怯えているようだ。
「なんですか?」
先程までの不機嫌さはどこへ行ったのか。優しげに聞いた恵梨に男も安心したのか、安心した様子で口を開いた。
「君たちは、情報が欲しいんだよね?そしたら、シオン君を尋ねると良いよ」
「シオン・・?」
聞いたことの無い名前と、突然の情報に驚く瑞稀と恵梨。だが、零だけは、シオンと聞いた瞬間、機嫌の悪い顔になった。
「じゃ、じゃあ、ボクはこれで!」
零の顔に恐れをなした男はそのまま走って裏通りに消えてしまった。
「・・零、怖がらせたよ、アレ」