第二章―2-2
その時、瑞稀は何かを思い出したようで、零に声をかけた。
「零、コレ!」
「・・なんだ?」
零が受け取ったのは先程、瑞稀が神殿のホールから貰って来た袋詰めのパン。
それを見た瞬間、零は目を大きく開けた。
「朝ご飯、食べてないんじゃないかなって思って。だから貰ってきたんだ!」
「・・何で分かったんだ」
そういう零は少し、不機嫌気味。瑞稀は少し笑って答えた。
「確信は無かったけど・・私が聞いた時、そっぽ向いたから本当はあまり食べなかったんじゃないかなって」
瑞稀はそこまで言うと、2・3歩前に進んでいた恵梨の元へ向かい、零に向き直った。
「食べてる所、見られたくないならちょっと先に歩いてるよ」
そう言うとパンを取り出す為に地面に降ろしたエナメルバッグを肩に掛け、恵梨と笑いながら前を向いて歩き始めた。
一方の零はそんな2人を見た後で手にあるパンの袋を見る。