第二章―1-10
今起きたばかりの瑞稀は一度もアルティナに会っていない。その質問は恵梨が答えた。
「なんかウチらの事、神殿を護ってる人に話をしに行ったみたいだよ。」
「え、そうなんだ・・」
こういうのは自分達が行くと思っていた瑞稀は少し罪の意識を感じた。
「どうせ、俺達も会う事になるから必要ないけどな・・」
零が呟くように発する。瑞稀達には聞こえたけど。
その呟きを聞いた二人が顔を見合わせ、小さく笑った。
「・・何だ」
「「別に?」」
2人から視線を向けられ、悪態をつく零に、瑞稀と恵梨はそんな零が面白くて笑いながら零の文句をかわした。
しばらくして、瑞稀がクリームスープを堪能したので出発する事になった。零は相変わらずさっさと先に行く。元々歩くのが早い恵梨は対して気にしない。その後を着いて行く瑞稀は一度、誰もいないホールに引き返した。
「スイマセン、これ、貰って行きます!」
誰に言うわけでも無く、そう叫ぶと袋詰めのパンを一個手に取り、先に歩いている二人に追いつくため神殿を駆け出した。