第一章―2-5
「うわぁ・・相変わらず凄いね〜」
少し離れた場所で待機している恵梨には、
2人の戦いはハイスピードに見える。
「そういえば・・零ってバングル持ってるんだっけ・・?」
恵梨がそう言ったと同時に瑞稀は恵梨の方へ飛ばされた。
「っあぁ!!」
「瑞稀!」
瑞稀は少しの間を置いてから起き上がる。
いきなり飛ばされたのでびっくり。
「・・何・・で・・?まさか・・」
「これが、バングル」
「・・ポール・・?」
零が手に持っていたのは長めのロッド・・・通称、トーテムポール。
そう、避けた一瞬で零の手に現れたコレに瑞稀は突き飛ばされた。
「・・あれが・・?」
「・・勘違いするなよ。これは“俺”のバングルの形状。お前らとは、違う形状だ」
「・・つまり、一つ一つ違うって事?」
「あぁ」
零は続ける。
「・・各バングルには精霊がいる。そいつと契約出来れば、バングルを使える。」
「・・それを教えてはくれないのか〜」
バングルの使い方をようやく知れた恵梨は軽い調子で聞く。一応これでも本音。
そんな質問をされて、一度考える仕草を見せてから零は頷いた。
「零・・っ・・」
零の態度に郁真と比べてしまい、つい感情を入れてしまう瑞稀。
つまり、戦いに全く集中出来ていない。
そんな瑞稀の心と身体の隙を、狙われた。