第一章―2-4
「よろしいですか・・?」
「・・はい」
「負けたくないなぁ・・」
「・・・」
軽く言っているように聞こえても、恵梨はこれでも本音。瑞稀と恵梨は真っ直ぐ零を見る。
一方の零は相変わらず無言。
そんな時にアルティナが声を上げた。
「では、始め!」
しかし、その言葉でも構えたまま動かない三人。恵梨は瑞稀の後ろで待機。
瑞稀は均衡を保つ。それは零も同じだった。
「(・・カウンター、狙ってる・・?)」
「(いつまで続くのかな、うん)」
瑞稀は恵梨の方をチラッと振り返る。
そこには小さく笑っている親友の姿・・。
まるで、早く行けとでも言っているかの様な・・。
「出し惜しみしないで行ってきなよ。ウチなら、大丈夫だから」
「・・・」
その言葉に戸惑っていた心が不安と共にほぐれていく・・。瑞稀は深く息を吐くと零に向き直った。
「・・行くよ!」
「・・!」
瑞稀は零に向かって走り出す。そしてそのまま飛び蹴り。
零はひらりとかわしながらパンチを入れる。
着地する直前でそれをかわし、蹴りを続ける瑞稀。零もかわしながらパンチで攻撃。
凄く良いリズムが響く。