第一章―2-3
広めのホール。
別室に荷物を置いた瑞稀と恵梨の2人が壁に寄り掛かって座っている。2人とも、無言の状態が続いている。
「・・瑞稀」
静寂な空気の沈黙を破ったのは、恵梨。
「何?」
「・・コレ、どう使うと思う?」
恵梨は自分の指にはめたリングを瑞稀に見せた。
「分かんない。結局教えてくれなかったし」
瑞稀はアルティナや零にバングルの使い方を聞いていたが、教えてくれなかった。
自分で見つけろ・・ただそれだけ。
「自分で見つけろ、って言われても・・」
「下手したら殺されちゃうよ。まぁ、だからこそ手加減が出来る零なんだろうけど」
「・・・零・・か・・」
瑞稀の頭はいまだに混乱状態が続いている。
自分の彼氏と似ている、いや似過ぎている少年が目の前に現れた。
なら、自分はその人を倒せるのか・・。
でも・・倒さねばならない。
倒さなきゃ、バングル回収や人間界に戻る事もままならないと分かってしまった。
「・・恵梨、どう戦うの?」
「あ、戦うんだね」
「さっき戦うって言ったじゃん・・」
「でも、ずっと嫌がってる顔してたし・・」
・・やはり、恵梨にはかなわない。
瑞稀は心から思った。降参の意味で思わず両手を挙げてしまいそうだ。
分かってしまう。だからこそ、親友なんだろうか。
ふとした考えと、嬉しい感情を隠しながら、今自分ができる精一杯の笑顔で返す。
「もう、大丈夫だよ」
「そっか。・・ん〜・・不意打ちで瑞稀が倒しちゃえば?」
「・・私が多分一番マークされると思う」
「ん〜・・じゃあ、ウチの所誘導して。
ウチが止めるから」
「うん、了解」
そこまで話終わると、丁度零とアルティナが入ってきた。