第一章―2-2
「彼は零(ゼロ)。貴方方2人と同じ年の「郁真!」・・!?」
アルティナの言葉を遮る形で驚きを見せる瑞稀。
「・・・」
「郁真って・・、瑞稀がずっと探していた郁真君?」
瑞稀から話を聞いていた恵梨もいきなりの瑞稀の言葉と目の前に現れた零に驚く。
「・・・この人は、郁真という人ではありません。」
アルティナが首を振って瑞稀を見る。
一方の瑞稀はアルティナの言葉は耳に入っていない。ずっと零を見ている。
「・・瑞稀か・・。さっきの戦いを見てたけど、蹴りが強いな」
「・・!・・うん」
零の言葉に戸惑いを感じた瑞稀。
何故なら、郁真は瑞稀の事を名前で呼んだ事はなかった。それは恋人になっても変化は無かった。本当にこの人は自分が知っている人じゃないのか・・そう、感じた。
「恵梨はもっと身体全体を使った方がいい」
「・・忠告ありがと」
恵梨は少し、零の忠告にムッとした。
意外に指図される事を嫌がるのが理由。
「2人にはこれから手合わせを行ってもらいます。勿論、相手は零。」
「え・・!」
「・・」
アルティナの言葉に瑞稀が戸惑いを見せるが、恵梨と零は無言でアルティナを見る。
そして、零が先に口を開いた。
「構わない。一緒に組む奴らが弱くちゃ、話にならない」
「・・・ぜ、ろ・・」
瑞稀は零を見る。
すごく、悲しげな表情で・・。
「・・ウチも良いよ。じゃなきゃ、コレの使い方分かんないし。」
恵梨が言うコレとは先程貰った“バングル”
「恵梨・・」
「瑞稀はどうするんだ?」
零から視線を向けられ、しぶしぶ頷く。
その様子を見たアルティナが頷いてから、
「じゃあ、決まりですね」