第一章―1-3
昇降口を出て、そのまま真っ直ぐに歩き、校門を出る。
その瞬間、感じる違和感。
「(・・何だろう、この感じ・・)」
「ねえ、瑞稀。なんか変な感じしない?」
不安になったのか、恵梨は瑞稀をチラッと見て言った。
「うん・・。何だろう」
「早く帰った方がいいよね」
「・・走る?」
「・・どっちでも」
すると2人を囲うように黒い“何か”が現れた。形は、人形のようだ。
ただ、違うのは奇妙なうめき声を上げているということ。
「なっ・・!!」
「何、こいつら・・」
何だかわからない鳴き声を出す“何か”。
瑞稀と恵梨はそれから逃れるために必然的に背中合わせになる。
「・・どうしよう・・」
「なんかテ○ルズみたい?・・なんて言ってる場合じゃないよね」
恵梨は一番に出た感想をかき消す。
瑞稀はそんな恵梨を見て、ただ一言。
「(・・のん気・・)」
すると、瑞稀の頬を一筋の血が流れた。
どうやら、恵梨の発言で油断していた一瞬の隙に攻撃を受けたらしい。
そのおかげで、瑞稀の負けず嫌いに火がついた。
「瑞稀。どうするの?」
「・・殺る。」
もはや当たり前のように凄まじい殺気を出しながら答えた瑞稀に、少し呆れながら恵梨は同意の意味を込めて頷いた。
2人は、荷物をそこら辺に投げた。
「後ろ、任せるよ?」
「いいよ、暴れて!」
その言葉に押されるように瑞稀は駆け出し、
飛び蹴りを食らわせていく。
そのまま後ろに回り込んできた人形を回し蹴りで2体倒す。次いで、空手チョップ。
恵梨は襲いかかる人形を鞄から取り出したポケットナイフで切り倒していく。
5分もたたずに全滅させた。
「・・これで、全部か。恵梨、大丈夫?」
「うん。てか、さすが瑞稀だね!蹴り、凄かったよ♪」
「・・・褒めてる?けなしてる?」
「けなしてる訳ないよ〜」
『瑞・・稀・・逃げ・・て・・』
「え・・?」
突然瑞稀の頭に響く、女の声。
それは直接、瑞稀の頭に届いた。
「・・瑞稀・・?」
突然何も言わなくなった瑞稀に対して不安が過ぎり、声をかける恵梨。
その瞬間、2人を光が包んだ。
「「・・!!」」
2人は驚いて辺りを見回すが段々と光が強くなる為に、目を開けていられなくなった。
「(この光・・さっきと・・同じ・・)」
瑞稀はそこで意識を手放した。