茉莉花[jasmine]-2
四十歳を前にして、妊娠などするものかどうか知らないけれど、孝俊を出産してからはずっとスキンをつけて交わっている。
私が事を急かすものだから、主人は私から顔を上げてスキンを取り出した。
「ちょっと待って…」
ベッドから起き上がると私は主人の足元に膝をつき、少し勢いを失いかけたそれを口にふくんだ。
主人の背中が哀しげだったからだ…
ふくんでは抜き出し、その先端を舌で舐めてはまた口の奥へと呑み込んだ。
「気持ちいい?」
「どういう風の吹き回しかな?」
「あなたが誘ったんじゃない。」
嗚咽を覚えるぎりぎりのところまでゆっくり押し込んではまた引き抜く。
そして、口膣の中にその形を確かめながら呑み込むように包みこむ。
後ろに指先を走らせ、それを咥えながら主人のお尻の穴をくちゅくちゅと刺激してあげた。
主人は手探りで私の乳房を掴むと乳首をくりくりと弄びながら妻のサービスに答えてくれる。
「気分出てきちゃった…」
唾液にまみれたペニスに薄いゴムを被せて主人の肩に抱きつく。
それより今夜はもう、済ませてしまいたかった。
絡み合うようにベッドにもどり緩んだ膣孔に主人のそれを受け入れた。
「あぁっ…あぁっ…
好きっ…好きっ…あいしてるぅ…」
今日は私の方が早かったみたいだった。
与えられる刺激の中で気が遠くなっていくような感覚を覚え、胸の高鳴りを体で感じてから主人もその動きを止めた。
セックス好きな妻のふりをしているけれど、本当はそれほど好きなわけではないのだろう。
主人が先にイッてしまえば私はさっさとあきらめてしまえるからだ。
ただ、セックス好きな妻を装う事で…
どう言ったら良いのだろう?
「夫婦の体裁」みたいなものを保てるような気がしていたのだった。
こんな夜は抱き合って眠る習慣がついてしまっているけど、私はダイニングに置き去りにしたパソコンが気になっていた。
主人が寝息を立て始めたらこっそり戻ろうかとも思っていたが、結局その夜は私も主人と一緒に眠ってしまったのだった。
… … … …
私は今どき流行りのブログというものを開設していた。
ハンドルネームは「茉莉花[ジャスミン]」
何がきっかけで始めたのかは忘れてしまったがここでは現実と違って、知らないうちに若返っていく。
不思議な感覚だった。
私はいつしかパソコンの中で二十代のアルバイターみたいな設定になってしまっていた。
男の子たちがアクセスしてくるからだ。
最初の頃は50人ものアクセスがあったけど、誰にもアドレスは教えない。
もちろん、携帯番号も…
それで半分以上は減ってしまった。
事実、そんなにたくさん返信できるわけがないのだ。
それに私はセックスの相手を探していたわけでもない。
残った人たちは純粋にインターネットを楽しむ人たちだった。
少なくとも私にはそう感じられた。
時折、遠慮がちに卑猥なコメントをつける人もいたけれど、それもまた愉しめる。
「お尻が大きく見えて恥ずかしいって事は茉莉花さんスタイルいいんだね。」