カオルC-8
真由美とひとみは、学校から少し離れたショッピング・モールに訪れていた。
「これなんかどう?」
ひとみが訊いた。
「ダメダメ!そんな派手なの似合わない」
真由美は、チラリと見ただけで全力で否定する。
2人は、若年層向けのショップの中にいた。
此処は、服から小物までほとんどの物が揃うと、真由美たち中高生には有名だった。
ひとみは、ネックレス類を選んでいた。
「とにかく、無難な方がいいって」
真由美は、客観的にアドバイスをおくるのだが、ひとみの方は中々納得しようとしない。
段々、真由美も飽きてきた。
「じゃあさ、わたしその辺見てるから、良いの決まったら教えて」
「えーーっ!一緒に探してくれるんじゃないの?」
「あんたも、わたしも、好みが違い過ぎるから合わないでしょう」
そう答えると、店内を物色しだした。
様々な服や帽子、靴などがところ狭しと並んでいる。
これらを眺めながら、自分の持ち服と組み合わせたシミュレーションを行うのは、気分転換にもちょうどいい。
真由美は、嬉しそうに商品を見つめていると、突然、奥の方で笑い声がおきた。
視線を向けた先には、髪をピンクに染めた女の子が、友人と思わしき人と騒いでいた。
(他人事とはいえ、すごい色)
そう思っていると、ピンクの女の子が手を頭に持っていった。
「へっ?」
次の瞬間、ピンクの髪が頭から剥がれた。
(エエエエーーーっ!)
ように真由美には見えた。が、よく見れば、ピンクのウィッグだった。
(…な、なによ。紛らわしい)
女の子たちが立ち去った後、真由美はその場に近づいた。