冤罪の代償-1
いかにして健太郎を問いつめるか考える日々が過ぎて行く。健太郎に書類の分からない所を聞きに行き帰ってきた七恵が言う。
「川田さんて遊び人?いつも誘ってくるんだもん。」
「モテなそうだし、ただの女好きなんじゃないですか?」
「でも身なりちゃんとすればかなりイケメンだと思うよ?」
「そうですか〜?」
「うん。私、お酒飲み過ぎた時に口説かれたらおちそうだもん。アハッ」
「え〜?」
「それにしつこく聞きに行っても嫌な顔しないであれだけ丁寧に教えてくれるんだもん、グラッとくるわよ。」
「それは弓野さんに下心持ってるからじゃないですか?」
「私、下心持ってくれる人、好きなのよね〜。こんなオバサンに!」
「弓野さん、オバサンて感じしませんけど??」
「オバサンよ〜。バツイチで子供2人いるんだよ?こんな私に下心持ってくれるなんて…やぁん、感じちゃう!」
「な、何言ってるんですか!?」
日増しにいやらしさを醸し出してくる七恵にドキッとする。
(あんなレイプ魔に騙されちゃって…、大丈夫かな、この人…。)
心配すらしてしまう。
仕事が終わり、事務員の中では最後に事務所を出た京香。着替えるのにロッカーを開けた。
「ん?なんかカビ臭いな…。」
異臭に気付いた。ロッカーの下の方を調べてみた。
「これがカビてるのかな??」
予備のストッキングを拾い上げると、白くカピカピと乾燥したものに気づいた。
「これ…カビじゃない…。や、やだっ!だ、誰よっ!!」
思わずストッキングを投げ捨て、ロッカーの中を隅々まで拭いた。
「人のロッカーの中に出すなんて…、もう許せない!!」
憤慨する京香。怪しいとは思っているが、証拠がなく、どこへ怒りをぶつけていいか分からないまま、また1日が過ぎて行った。