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凶眼
【制服 官能小説】

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〜第1章〜 水曜日 レアン-8

 そしてー
 僕は目線を下げた。
 今まで意識してなかっただけに、むき出しの手足に目が吸いついてしまう。
 走ることに機能的なランニングウェアは二の腕から肩までむき出しで、太ももも大部分が露出している。黒いウェアのせいか、肌の白さが眩しい。
 運動部の女子と言うと筋肉の硬そうなイメージがあったが、すらりと引き締まった身体は、柔らかそうでもあり、肉感的でもある。
 アニメでは間近のカットやきわどいアングルに事欠かないが、こんな近くから、生の女の子を眺めるのは初めてである。ほんのちょっと手を伸ばすだけで、どこにでも触れられるようで、その肌の感触を確かめてみたい衝動に駆られる。
 彼女の様子は明らかに普通ではない。そうでなければ、こんなプレハブ小屋に連れ込まれ、無遠慮な目でじろじろ身体を眺めまわして、何の反応も示さないはずがない。
 それも、この僕に!
 ―これが凶眼の、心を奪う、ということだろうか。
 ならば、女の子を好きに操れる、と言うのも文字通りに受けとれるのか。
 獣のごとく襲いかかりたくなる衝動を、いまだこの状況が受け入れられない理性が阻んだ。
 ―もしちょっとでも触れたら、途端に魔法が解け、彼女は正気に戻るんじゃないか。
 ほんの小さな懸念は、瞬く間に疑心へと変わる。もしかしたらこれは彼女の罠で、僕が手を出すのを待って、本物の痴漢に仕立てる気か?
 伸ばしかけた手を引っ込め、もう一度彼女の顔を覗き込む。
 「リーエンさん、‥もしかしてからかってる?」
 無言で通すかと思いきや、返事はあった。
 「−いいえ、からかってません」
 相変わらず感情の色は見られず、馬鹿正直な答がかえってくる。
 「あー‥、自分の名前を言ってみて」
 「―はい‥私はレアン・芳華・リーエンです」
 「じゃ、僕は?」
 「貴方はラウム・クルーガー様です」
 僕は我が耳を疑った。
 様?
 今、僕に様をつけて呼んだのか?
 「も、もう一度言ってみて」
 「‥貴方はラウム・クルーガー様です」
 オウム返しに、全く同じ答えが返ってくる。聞き違いでないことはわかったが、本当にからかわれてるような気がしてきた。これ以上は禅問答になりかねない。質問の方向を変えてみよう。
 「ええと、ここに来るまでは、何してた?」


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