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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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白い世界-8

「ちょ……待って」

 キャラは意識を集中して異世界との扉を少し開いた。
 異世界からエネルギーが溢れ出てキャラの体を満たす。

「おっけ、エネルギー満タン」

 グロウの腕から抜け出したキャラは自分の足で走りだした。

『召喚師って便利だよなあ……』

 グロウは呟くと迫ってきた刃をジャンプして避ける。
 しかし、着地点にも刃があった。

『いっ?!やっべ』

 魔力を吸われる覚悟を決めたグロウは、その刃にどすんと着地……が、何も起こらない。

『お?』

「成る程!攻撃を受けなきゃいいんだっ!なら……」

 キャラは体を反転させてズザッと止まり、蜘蛛に向き直ると地面に刺さったままの刃の上に飛び乗って走りだした。

「よしっ!行ける!」

 白い刃の上を走りながら周りを見たキャラは奇襲チームが両側から来ているのに気づく。

「蜘蛛の足を狙えっ!!」

 白い刃の上を逆走しているキャラとグロウの姿は遠目にも目立つので、直ぐに了解の合図がきた。
 やっと事態に気づいた蜘蛛が白い刃を切り離す。

「おっと」

 足場がたわんだ瞬間、キャラはジャンプして宙返ると着地するついでに魔物を踏み潰した。

『ギョエェエ!?』

 気味の悪い声をあげた魔物の眉間に剣を突き刺すと、隣に着地したグロウと背中合わせになって少し息を整える。

「はっ……やっぱ……きっついなぁ……」

 自分の持久力の無さに舌打ちしたキャラは、荒い呼吸を落ち着かせようと深呼吸する。
 少し休憩した2人は同時にその場から飛び退いた。
 今まで2人が居た場所に刃が刺さる。

「えっ!?」

 飛び退いた途端に身動きが取れなくなったキャラは驚きの声をあげた。
 良く見ると細い糸がそこらじゅうに張り巡らされている。
 まさに蜘蛛の巣にひっかかってしまったのだ。
 見るとグロウも糸に絡まってジタバタしている。

『ちょこまかとすばしっこいな……』

 蜘蛛の上から人型のザギが覗き込んできた。

『まずは邪魔な魔導師を始末しよう……』

 ザギは蜘蛛からひらりと飛び降り、グロウの頭を掴む。

「射て!!!」

『!!!』

 間髪入れず叫んだキャラの合図に、ヒュンヒュンと四方八方から雨のように矢が降り注ぐ。
 ザギはグロウから手を離して自分を結界で包んだ。
 しかし、ザギの思惑を裏切って矢は蜘蛛を狙っていた。


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