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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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白い世界-29

「おやすみぃ〜」

 エンはキャラの肩にキスすると直ぐに寝息をたて始める。
 アースもキャラの額にキスをして目を閉じた。

「……嫌いになった?」

「はぁ?」

 小さな声で呟いたキャラの言葉に、アースは目を開けて間抜けな声を出す。

「だって……あり得ないし……」

 どうやら本当にかなり恥ずかしかったらしい。

「可愛いかったぞぉ?」

「本当に?」

「お前がお前だから好きだっつったろ?何度も言わせるな」

 それを聞いたキャラは安心して躰の力を抜く。

「……今、エンさん邪魔……」

 行為後ののんびりとした時間が好きなキャラにとって、呑気に寝息を立てているエンは邪魔者以外の何者でもなかった。

「酷ぇ女……だが、同感だ」

 2人はエンに視線を注いだ後目を合わせ、くすりと笑って眠りにつく。


 それから5日後……今日はギルフォードとステラの結婚式。
 城内は式の準備などでてんやわんやだ。

「姫様っ……代わって下さい」

 綺麗なウェディングドレスを着たステラは緊張しまくってパニクり、キャラに妙なお願いをする。

「義姉さん……新婦が代わってどうすんですか……」

「でもっ……じゃあイズミ姫っ」

 今度はイズミに白羽の矢がささる。

「構いませんわよ?その代わり、初夜もわたくしのものですわ」

「ああ!それはダメですっ!!」

 何度も深呼吸して気持ちを落ち着かせようとするステラを見て、キャラは微笑んだ。
 キャラとイズミはステラの付き添い人。
 2人は茶色の飾り気の無いドレスを着ていた。
 ちなみに、ギルフォードの付き添い人はアースとグロウ(猫バージョン)……本来ならラインハルトだったが、ラインハルトは亡きオーウェンの代わりに進行役をしなければならないので急遽アースとグロウで代役をやる事になったのだ。

「羨ましいですわぁ」

 イズミはふうっとため息をついて羨ましそうにステラを見つめる。
 どんなに緊張しようが結婚式は女の憧れなのだ。

「そういえばキアルリア姫はどうするの?」

 話を振られたキャラはお茶を飲んで首を傾げる。

「さあ……?プロポーズは受けたけど、まだ兄様達に報告もしてないだろうから……考えてもいねえんじゃね?」

 そういう事に気を使う男とも思えないし、特に期待もしていない、といつもの口調でキャラは答えた。
 素はバレてるしイズミの事が気に入ったので普通に付き合いたいと思ったのだ。


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