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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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君のいる景色 -5

「ミヤ、キアルリア達のルートわかるか?」

「地図があればわかりますわ」

「おう、地図ならあるぜ」

 ミヤに問いかけたのにダリルから返事が来てアースは嫌な顔をした。

「つうか、親父さんと叔父さんは避難場所に行ってくれって言わなかったか?」

「ああ、言われた」

 ダリルは地図を広げてあっさり答える。

「んじゃ、なんでまだ居るんだよ?」

「居たいから。細けぇ事気にすんなよ」

 命がかかるような事が細かい事だろうか、とアースは思うが何を言っても無駄っぽいので好きにさせておく事にした。

「昼頃にお城を出発、羽馬(うま)で移動しますので……」

 広げた地図を指差しながら言うミヤの言葉をアースが途中で遮る。

「馬?」

「羽馬、ですわ」

 ファンは元々は巨大な火山。
 城はその火山の根元、南東側にある。
 今は休火山だが何百年も前は、頻繁に噴火を繰り返していたらしい。
 その名残が地下の巨大遺跡……昔、大噴火があった時に都市が溶岩に飲み込まれたが、オーウェンの結界でかろうじて守られた。
 その時、脱出のために掘られた洞窟がファン全土に広がっているのだ。
 故に、ファンには溶岩石がゴロゴロ転がっており、整備されている街以外では『羽馬(うま)』と呼ばれる鳥が乗り物としては一般的。
 羽馬はダチョウのような風貌だが、頭とクチバシが大きく、太い足にも羽毛が生えている。
 色はグレーや茶色、黒や白など様々。
 中には空を飛ぶのもおり、それは『空羽馬(そらうま)』と呼ばれ、乗りこなすのにはかなりの努力を有する。
 地形の荒いファンならではの生き物だ。

「羽馬は普通の馬よりスピードがあります。半日で大体これぐらいは進みますが、野営には向かないので手前の……ここ、天然温泉があるんですよねえ〜」

 ミヤはうっとりと語る……どうやら温泉が好きらしい。

「この洞窟から行けるか?」

「大分戻った所にある縦穴からなら野営地に近い所に出る」

 戻ってきたクインを肩に乗せたケイが洞窟の奥を指差した。

「歩いたら時間かかるけどな」

 アースは顎に手を当てて考え込む。

「親父さんと叔父さんは城に情報を伝えに行ってくんねぇかな?俺とケイはキアルリア達と合流する。ミヤはどうする?」

「1度お城に戻って医療チームをここに待機させますわ。海から死角になってますし、わたくしのムカデちゃんなら移動も速いですから」

「俺ぁその医療チームの手伝いすっぜ」

「北の海の事は俺が誰よりも知ってる」

 ダリルとゲイッシュに仕事を与えて避難場所に送ろう、と考えていたアースの目論見はあっさりと崩れた。


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