『約束のブーケ』-4
※
最上に離婚届を届けた後、蓉子は考えた。
何が一番の復讐になるかを。
「まずは自分が幸せになることです」
そう言った千夏を心から愛しく思った。
それでも満たされない、小町へのこの感情。
それは憎しみではなく、そう……言ってみれば「このまま貴女だけが幸せになるのは許せない」というやり切れない気持ち。
女としての最後のプライド。
知っていて、彼女はそれを手伝うと言った。身を賭して。
「それは私の悲願でもありますから。」
そう言って小さく笑った彼女へ、蓉子は全てを託すことを決めたのだった。
蓉子は黄色いバラで出来た小さなブーケを彼女に手渡した。
友情,嫉妬,復讐。
「次は貴女の番よ。」
そのバラに負けない艶やかな微笑を、千夏は蓉子に返した。
【END】