野生の悪魔が現れたっB-21
「うち外行きたい〜っ」
「外? あ、もっとゴシゴシ擦って……だああぁっ! 強すぎっ」
「うん……一日中ここおってもつまらんねん」
「って言われても……あ、それは優しく撫でるように」
「折角現世に居んねんから、こっちの世界たっぷり見たんやもん」
「『もん』てお前、萌え……いや、もういいよ。次は切っていこうか……」
「聞いとる?」
「だあああぁっ! もう! 忙しい!」
とうとう修一の何かに何かが達した。
「大体お前ら、その布切れみたいな服何とかなんないのか!?」
「なんやねん。うちのおっぱいも見たいんか?」
「今は逆だ、逆!」
「修一さん……さりげなく見たいアピールしませんでした?」
ミルルにしっかり拾われ、修一はわざとらしく咳払いを挟む。
「兎に角、そんなカッコの小○生連れ回してたら、俺逮捕されちゃうから」
「そう言われてもなぁ……」
クランは両手の頬杖に顎を乗せ、溜め息を吐いた。
「天族も魔族も、服に関する装飾はこれ以上持ち合わせていません」
「そうか……え? 天ぞ「せやっ!」
クランは何か閃いたのか、怠そうな態度を一変させる。
「修一、服買って!」
「…………は?」
「そうですねっ! 現世の物なら消えることもありませんっ」
「消える? 何が?」
「修一〜……」
「修一さ〜ん……」
まるで彼が父親か兄であるかのように、修一の腰回りに二人の幼女が絡みついた。
非常に和ましい光景である。
勿論、傍目から見ての話だが。
「だあぁっ! 解った! 解ったから!」
修一はなんとか振り解き、肩で息を吐く。
しかし
「ホンマか?」
「ホントですか?」
また、まとわりつかれるのだった。