隣のオンナ-6
DVDの内容というよりも、今日見たあの女の後ろ姿が、俺の本能を強く刺激している。
俺は本当に久しぶりに本格的な硬さを取り戻した自分のモノを素早く取り出し、慎重にしごきはじめた。
下半身に集まった血流が逃げないように下腹にギュッと力をこめる。
『嫌だというわりにこんなに濡れてるじゃないか……』
ストッキングの中に手のひらを突っ込んで股間を撫で回すエロ上司。
そこにあの爬虫類顔の男の顔を無理矢理重ね合わせる。
『あっ……あぁっ……そんなとこ……触らないでっ………ダメっ……ああん……』
「……うっ……はぁっ……」
一気に高まっていく射精感。
イくのをわざと我慢したり、焦らしたりするような精神的余裕は全くなくて、とにかく一度自力で放出して安心したかった。
このまま……イけるかもしれない。
俺は画面いっぱいに映る女の下半身に神経を集中させながら素早く手を上下に動かした。
『あぁっ……イくっ……イっちゃうぅっ……!』
女の声に煽られるように俺も一気に頂点に向かう。
『うっ……うっ……イ……イくっ……』
迫りくる限界を感じ素早くティッシュを抜き取ったその瞬間、背後でピーピーピー!というけたたましい電子音が響き始めた。
「えっ?……はっ?……な、何だ?」
驚いて振り向いた俺の目に飛び込んできたのは、狭いキッチンいっぱいに立ち込める白い煙だった。
「だ、だ、だっ………かっかっ……火事?!」
あわててジーパンを履いて立ち上がると、ボン!という大きな音とともに電子レンジの扉が開き、中からオレンジの炎がぶわっと舌を出した。
「うわわっ……や……やっべ……」
最適の対処法がわからないまま、とりあえず煙の立ち込めるキッチンに駆け込んで水道の蛇口をひねった途端――――廊下に面しているガラス窓が外からバリーン!と割られ、消火剤だと思われるピンクの粉が勢いよくブワーッと部屋の中に入ってきた。
「うわっ……ちょっ……待てっ!」
狙いも定めず四方八方に撒き散らされるどぎつい色の薬剤が、電子レンジにはほとんどかからずに壁やら床やら俺の頭やらを粉まみれにしていく。
「うっ……ゲホッ……ゲホッ……おいっ!ちょー待てって!ゲホッ……ゲホッ」
煙と粉に激しくむせながら玄関の鍵を開け廊下に飛び出すと、パジャマ姿の見知らぬ女が、すごい形相で俺の部屋の窓に消火器のホースを突っ込んでいた。
「おい!ちょっと待てって!おま……やめろ!落ち着けっ!」
俺は女に駆け寄って消火器を引ったくると、部屋に戻って残り僅かな薬剤を電子レンジに向かって噴射した。