野生の悪魔が現れたっ@-4
「フィールドワークの事なんだけどさ、場所だけでも決めとかない?」
フィールドワークとは今日の歴史の授業で出された課題で、建物に纏わる歴史を調べろというものだ。
二人一組で行われるのだが、修一は友美とペアを組むことになったのである。
フィールドワークの評価は定期試験よりも重点を置くと宣言されたが為に、早く、じっくりと着手したいらしい。
何を隠そう、彼女は俗に言う優等生なのである。
「あ……そうだな……」
修一にとってはまたとない好機。
何しろ獲物の方から踏み入ってきたのだから。
「でさ、今から空いてる?」
「あぁ……」
修一の視線は友美へと向かう。
赤い上履きから黒いニーハイソックスに纏われた脚、むっちりと美味しそうな太腿、黒いスカートは腰元で何度か折られ短くなっている。
その上には滑らかな質感の白いカッターシャツ、胸元には赤いリボンタイが確認できる。
更にその上、幼さの残る可愛らしい顔には一際目を引くくりくりした大きな瞳が彼の方を窺っていた。
──お前は俺の性奴隷だ。
視線が合い、ここぞとばかりに彼は念じる。
強く……強く……。
「駅前に……」
──お前は俺の性奴隷だ。
「美味しい……ケー……キ……」
──お前は俺の性奴隷だ!
「……はい、ご主人様」
「マジでかかった……」
驚いたのは他ならぬ修一の方だ。
目が虚ろになっているわけでもなければ息を荒げているわけでもない。
しかし友美の口は確かに術に掛かった合図を発したのだ。
呆気に取られそうになるも性欲がそれを阻む。
「と、取り敢えず、家に来ない?」
「はい、ご主人様」
機械的な返事は若干不気味にも聞こえるが、修一には全く気にならなかった。
修一の両親は彼の高校入学直前に離婚している。
母方に引き取られたのだが、折角合格した高校に通えなくなることに不満を抱き、彼は一人暮らしすることになった。
家賃と学費は離婚原因を作った彼の父が負担している。
母からの仕送りもあって一人暮らしには何の不自由もなかった。
因みに彼が住んでいるのは普通のワンルームアパートであるが、他の入居者は大学生や院生ばかりである。
しかし……。
「ほれ見ぃ。早速メス連れて来よったで」
彼が玄関のドアを開けて早々、そんな声が中から聞こえた。