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野生の悪魔が現れたっ
【ファンタジー 官能小説】

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野生の悪魔が現れたっ@-3

 ただ胸の豊かさはクランを圧倒的に上回っている。

「…………誰?」

 修一は軽いデジャヴを感じつつそう口にしていた。

「み、み……ミル、ミルル=フレス=ミーティグレー=ラ=ストゥール……です」

「…………え?」

「ミルル……フレス=ミーティグレー……=ラ=ストゥールです……」

「……あ?」

「ミルルです……」

「ミルル?」

 漸く通じたらしい。

「うちの妹や」

 クランは何故か手を腰に当て、胸を張っている。

「コイツ淫魔やねんけどな? むっちゃ成績悪くて困っとんねん」

「成績?」

 修一がハテナを浮かべるも、クランはやはりスルーして話を進めていく。

「今から催淫術っちゅーの使えるようにしたるから頑張ったってー」

 クランはそう言って修一を顎で指すとミルルがスススーと彼の前に滑り出る。
 その大きな瞳が修一を写した瞬間、碧の淡い光が発せられた。
 修一は目から何かが滲み込んで来るような違和感に襲われ、それが体全体へと広がっていく心地に見舞われる。
 やんわりとミルルの輪郭がぼやけて行き、しかしそれはゆっくりと重なり合っていった。
 時間にしてものの数秒。
 そのほんの僅かな間に彼はその力を得たのだった。



 催淫術。
 簡単に言えば異性を発情させる術である。
 修一は男なので、つまり女を発情状態にさせることが出来るようになったのだ。
 方法は至ってシンプル。
 対象者の目を見つめ

 ――お前は俺の性奴隷だ

と念じるだけでいい。

「はい、ご主人様」

と返ってこれば術に掛かったことを示す合図になる。
 翌日から早速獲物を漁っている修一だが、時は既に放課後を迎えていた。
 元女子校だった高校は修一が入学した年に共学に変わったたためか、彼の学年には男子がクラスに一人という割合しかいない。
 一年生もさほど変わらず、三年生に至っては女子ばかりだ。
 しかも粒揃いという環境が修一の頭を悩ませ、そのままずるずると放課後になってしまったのである。
 彼は昇降口へ向かいながら辺りを窺い、うんうん頭を抱える。
 しかし足はしっかり動いているため、ついには下駄箱へたどり着いてしまった。

「片桐君っ」

「え?」

 外靴へ手を掛けたとき、謀ったかのようなタイミングで名を呼ばれた修一。
 犯人は彼と同じクラスの北野友美(きたのともみ)という女生徒だ。


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