カウントダウン-23
「すぐミヤに行ってもらおう。エンさん!アース無事でした!着替えと装備を準備して下さい」
キャラの声に振り向いたエンは顔を輝かせてゼビアの離れに走って行く。
「ホントありがとう!ついでにミヤをアースの所まで案内して貰っていい?」
「も、勿論っすよ」
頬を押さえながら赤い顔をしたダリルは、任せとけ、と胸を叩いた。
バッシャーン
「うげっげほっ」
海の水を使って大きな球体を空中に浮かばせていたケイは、集中を切らして球を破裂させた。
「ケ〜イ〜……」
見事に海水を全身に浴びたケイは咳き込み、巻き込まれたアースは左手を右肩に当てて唸る。
傷口に海水がしみて……痛い……。
「ぅえっぷっ……ゴメン……」
1時間ほど色々試してみた結果、精霊との意識共有はすぐにできたが水を操るなどの魔法はやはりそれなりに時間がかかりそうだ。
これは精霊とのコンビ技を模索した方が手っ取り早いかもしれない。
「休憩にするか……」
「うぃっす……」
アースとケイがよたよたと焚火の所に戻って火に当たっていると、ダリルの声が聞こえた。
「ぉ〜い」
どんどん近くなる声とザカザカと言う音……アースの背中に悪寒が走る。
「まさか……」
ザカザカザカザカザザザザーーー!!
「待たせたな!」
妙な音の正体は巨大なムカデの足音。
趣味を疑うがミヤのペットだ。
そのムカデの背中にダリルと、アースの右腕を持ったミヤ、そして様々な荷物がくくりつけられている。
「よ……よぉ、久しぶり……」
アースがベルリアに引き取られたばかりの頃、ファンに連れてこられた事があり、その時このムカデで轢かれた……嫌な思い出だ。
「お待たせしました。すぐに治療を始めますわよっ」
ムカデから降りたミヤは結界を張り、その中に折り畳み式のベットを設置する。
押し倒すようにアースを寝かせたミヤは、その体をベルトでギチギチに固定した。
「……SMプレイ?」
「違いますわよっ!!麻酔無しでいきますから動かないように、ですわ。皆さんも押さえつけてて下さいませ」
ミヤの言葉にわらわらと男共が集まり両足と左腕をそれぞれ押さえつける。